朝大学図書館
大学図書館の一隅に岩波文庫の棚がある。全体的に古びて埃っぽい。物凄いものは茶色の分厚い木の板みたいになっている。その中から土井晩翠の詩集を見つけた。最後に貸し出されたのが1989年だった
詩はわからない。でも、わからないながら眺め入るのが好きだ。文字の羅列から一瞬にして美しい景色が眼前に生じる、異国を目にする。どこにでも、どの時間へも行ける。
引用
「世界の富を集めたる
ローマの榮華夢と消え
こがね鏤ばめ玉しきし
ニネブバビロン野と荒れて
砂上につきしバベル塔
今はた何を残すらむ」
毎日毎日座っていても、からきし何にも解らず利口にもならない。
夕方ツクツクボウシが弱々しい声で鳴いていた。